ビジネスの場や会食の席などにおいて、対峙した相手の視線が最も自然に、そして長い時間集中する場所。
それが、スーツのVゾーンであり、その中心に鎮座する「ネクタイ」である。
Vゾーンなどの色の組み合わせで迷った際に参考にしてほしい方法について、詳しく解説した記事はコチラ。
「周囲から信頼されるような、落ち着きと貫禄のある胸元を形作るにはどうすればいいのか」
日々の多忙な経営のなかで、そのように自らの身だしなみへ真摯に向き合い、細部を美しく維持しようと努力を重ねることは、対峙する相手への深い敬意(マナー)として非常に素晴らしいことである。
しかし、他人からの印象をコントロールする合理的な装いにおいては、ただ周囲と同じ波に流されるだけでは、あなたというリーダーの「独自の覚悟」や「生き様」を無言で証明することは難しい。
真の貫禄とは、作られた一過性の流行に依存することなく、自らの明確な選定基準に基づいて細部を完璧に管理し続ける、そのブレない一貫性のなかに宿るのだ。
ネクタイの具体的な選び方について詳しく解説した記事はコチラ。
この記事では、華やかなトレンドの技術にも深い敬意を払いながら、あえて余計な装飾をすべて削ぎ落とし、胸元の真ん中に最も誠実な直線を画くための「ノーディンプルの美学」を公開する。
また、私がこれまでの熾烈な実戦のなかで目にしてきた偉大な先達の佇まいを紐解き、シャツの型に合わせた結び方のルールから、ドレスコードの歴史が証明する正当性にいたるまで、その合理的な胸元の戦略を徹底解説していく。
目次

昨今のメンズファッションにおけるネクタイの装いにおいて、結び目の下に「ディンプル(くぼみ)」を作ることは、Vゾーンに華やかさや立体感を演出するための「おしゃれの常識」として広く定着している。
また、雑誌やメディアでも、ネクタイを立体的に立体化させることだけがマナーであるかのように語られることが多い。
それらは周囲に軽快で華やかな印象を与えたいビジネスパーソンにとって、それは非常に効果的であり、大いに為になる素晴らしい着こなしの技術であることは私も同感だ。
しかし、他者を圧倒するほどの「威厳」や、重厚な「貫禄」に重きを置く私の外見戦略においては、あえてそのディンプルを作らない「ノーディンプル」を選択することとしているのだ。
その理由を以下で明かしていく。
■私の美学と哲学に共感していただける方へ
今からお伝えする私のスタイルは、現代の一般的なおしゃれの尺度や、流行のトレンドとは一線を画す独自の路線である。
そのため、万人に広く受け入れられようとするスタイルではないことをはじめに断っておきたい。
私はただ流行を追うだけでは決して手に入らない、本物のクラシックな風格を求めている。
そんな私の美学や好みに深く共感していただけるリーダーにのみ、心から推奨し、日々の実戦で取り入れてほしいと考えているのだ。
ただしここで、あえてディンプルを作らないということは、「一歩間違えれば、ただネクタイをきれいに結べない人間として誤解されるだけではないか」と心配される方がいらっしゃるかもしれない。
だが、安心してほしい。
私がここで説くのは、ただ無造作に結んだだけの無頓着な姿では断じてない。
シャツの襟元とネクタイを完全に同期させ、結び目をキュッと小さく固く引き締め、歪みのない完璧な直線の三角形を胸元に飾る。
その極限まで研ぎ澄まされた端正さがあるからこそ、すべての特徴が『だらしなさ』ではなく、他者を圧倒する『嫌味のない圧倒的な貫禄』へと化けるのだ。

私が現代の流行に流されず、「ノーディンプル(ディンプルなし)」という独自の路線を突き進むのには、明確な原点が存在する。
それは、かつて幼い頃や若い頃に目にしてきた、圧倒的な威厳を放つ偉大な会社の経営者たちや、高倉健や菅原文太、梅宮達夫などをはじめとする古き良き銀幕のスターたちの佇まいにある。
彼らの胸元を思い返したとき、そこには現代風の華美なくぼみなど存在しなかった。
代わりに、胸元の真ん中に「小さく端正なネクタイの三角形」を堅実かつ美しく形作っていたのだ。
私はその幼少期から見て覚えた、強くたくましい、このスタイルこそが時代を超えて信頼される真の「威厳スタイル」であると確信している。
端正で、静かなスタイルの中に、威厳と貫禄を放つ昔ながらの佇まいに憧れ、私は今までも、そしてこれからも、その独自の雰囲気を追求していくであろう。
流行を追いかけて毎年形を変えるおしゃれではなく、自らの哲学と同期した「形」を胸元に構えることこそが、威厳スタイルにとって最も重要な要素だと思っている。
■具体的な実践ルール|威厳を生む2つの結び方
なるべく端正に、シンプルに。
クラシックで昔ながらの威厳と貫禄を表現するため、私の外見戦略においては、「ノーディンプル」かつ「結び目を小さく仕上げる」ことを絶対のルールとしている。
今の日本の企業が作る既製品のシャツは非常にレベルが高いため、襟の形に合わせた以下の黄金比率さえしっかり守れば、誰にでも簡単に威厳スタイルの土台が完成するのだ。
① レギュラーシャツ(標準的な襟型)の場合

結び方:プレーンノット + ノーディンプル
レギュラータイプの襟型には、ネクタイの最も基本的な結び方でありながら、結び目が最も小さく、シンプルに仕上がるプレーンノットがおすすめ。
余計な厚みを出さず、胸元に鋭く端正な三角形を添えることができるのだ。
② セミワイドシャツ(やや開きのある襟型)の場合

結び方:セミウィンザーノット + ノーディンプル
セミワイドの襟元の開きに対して、プレーンノットでは少し結び目が細く小さくなりすぎる場合がある。
そのため、この場合はセミウィンザーノットで左右のバランスを補正しつつも、すこしボリュームを持たせディンプルは一切作らないことが重要だ。
ただしここでもキュッと小さく引き締めることをおすすめする。
ネクタイを結んだ後の長さの正解について詳しく解説した記事はコチラから。

なぜ、私がここまで「ノーディンプル(ディンプルなし)」という、余計な装飾を削ぎ落とした胸元の直線美にこだわるのか。
それには、上記で説明した威厳あるクラシックスタイルを実現するためということと、もうひとつ歴史的なドレスコードに裏付けされた明確な理由がある。
皆さん、お葬式をはじめとする極めて厳粛なフォーマルの場を思い出してほしい。
その場において、ネクタイの結び目にディンプルを作ることは、明確なマナー違反とされている。
なぜなら、ディンプルが持つ立体感や華やかさは、葬儀などの場においては「装飾や過飾」の表現に当たると定義されているからだ。
葬儀の際の服装マナーについて詳しく解説した記事はコチラから。
■装飾を引き算した先に宿る、本物の格式
この揺るぎない事実が示す通り、あらゆる装飾を徹底的に排した「ノーディンプル」の胸元こそが、ネクタイのマナーにおいて最もフォーマルであり、最もクラシックな正統派の結び方であることの何よりの証明だと個人的には解釈している。
ビジネスの最前線において、私たちは単におしゃれをするためにネクタイを巻いているのではない。
自らの生き方や美学、そして対峙した相手への深い敬意を無言で証明するために胸元を整えているのだ。
そういった本質的な意味も含めて、私は流行に左右されないこのノーディンプルのスタイルをおすすめしている。
私の「威厳・貫禄スタイル」において、なるべく端正でフォーマルなクラシックネクタイの結び方は、このノーディンプル一択である。
現代の華やかなトレンドや一過性の流行に翻弄される必要などない。
かつて私が憧れてきた銀幕のスターや偉大な先輩達がそうであったように、ただ実直に、自らの美学や哲学に合わせた黄金比率を守り実行する。
レギュラーシャツにはプレーンノットを、セミワイドシャツにはセミウィンザーノットを。それぞれディンプルを一切作らずに、キュッと小さく引き締める。
毎朝のルーティンとして端正な三角形を積み重ね、時代に流されない本物の威厳と貫禄を作っていこう。
そして、完璧な装いのなかに、装飾をそぎ落とした「ノーディンプル」という強い基準が伴ったとき、あなたの放つ佇まいは、地方ビジネスの戦いの場をコントロールする強力な武器となってくれるだろう。